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障害学生支援教職員研修会

更新日2013年8月2日

 2013年2月22日、同志社大学今出川校地にて「障害学生支援教職員研修会」を開催しました。



画像:研修会の様子

 PEPNet-Japanでは、全国の大学に点在する聴覚障害学生への支援体制を整備していくために、連携大学・機関を中心とした複数の大学が共同して地域のニーズに応じた研修会を企画・開催することを通し、大学間ネットワークの活性化を図ることを目的として、地域ネットワーク形成事業に取り組んできました。

 今年度は、同志社大学を主催校として、大阪大学、大阪教育大学、関西大学、関西学院大学、立命館大学の障害学生支援組織の担当者が実行委員として集い、この研修会を企画しました。
 研修会のプログラムは、「障害学生支援コーディネーター養成研修カリキュラム(試行版)」(2011年度コーディネーター連携事業にて作成)をもとに計画に着手し、最終的にはコーディネーターに限らず障害学生支援に携わる教員、職員を幅広く受け入れる研修プログラムが完成しました。

 研修プログラム作成の背景として、2012年度は文部科学省内に障害学生支援に関わる検討会が設けられ、2012年末に「障がいのある学生の修学に関する検討会報告(第一次まとめ)」が出され、多くの大学関係者ができるだけ早くこの内容を学ぶ機会を設ける必要がありました。
 そしてこの報告で打ち出されている合理的配慮の考え方をはじめ障害学生支援に求められる知識や技術を、コーディネーターにとどまらず大学内で支援に携わる様々な立場の方に学んでいただくことによって、支援体制の充実につながることが期待される、という点も実行委員会として十分考慮しました。この2点は今回の研修会の大きな特徴ともなりました。

 研修会には全国から大変多くの方々からお申し込みをいただき、一般公開として午前中の基調講演にも、関西地域の大学関係者を中心に、多くの方にお集まりいただきました。

 今回の研修会にご参加くださった皆様、また約1年の間、研修会の企画と準備にご尽力くださった実行委員の皆様、講師や助言者を担当してくださった皆様に、心より感謝を申し上げます。


■ 当日の様子 ■

【第1部 基調講演】
「障害学生支援に関する文部科学省の政策動向

写真:基調講演の様子 最初に、文部科学省高等教育局学生・留学生課から、上記の検討会報告の取りまとめに深く携わられた田畑潤司氏をお招きし、報告の趣旨および重点について講演をいただきました。
 検討会が設置された経緯をはじめ、合理的配慮について検討を進めるにあたり、「障害」や「学生」の範囲をどう捉えることとしたか、基本的な考え方としてどういったポイントがあるか等、報告書の内容を引きながら詳しい説明をしていただきました。最後には、「報告書の内容をすべてできるようになってから取り組むのではなく、できるところからスタートするという考え方が大切」と、今後各大学へ寄せる期待を伝えていただきました。

「これからの障害学生支援のあり方−合理的配慮の考え方に基づいて−」
 続いて、信州大学の高橋知音先生から、発達障害の例を中心に、信州大学での取り組みをご紹介いただきながらこれから求められる障害学生支援のあり方についてお話をいただきました。学生個人の特性(機能障害)と環境との関係で学生への配慮を講じる必要があること、また障害そのものではなくどんな困難があるかという根拠に基づき配慮事項を決定していくことが重要であることなど、高等教育機関における配慮の考え方について具体的なご説明をいただきました。またまとめとして、合理的配慮の決定にあたっては、担当者個人ではなく専門家を含む組織として判断を下し、個々の判断に対して大学が責任を持つ体制を作っていくことが求められている、ということが強調されました。

【第2部 分科会】
「入門コース 障害学生の4年間」

写真:パネルディスカッションの様子  卒業を控えた聴覚障害学生3名と、その支援に携わった担当者2名によるパネルディスカッションを行いました。聴覚障害学生からは、支援を利用しながら4年の間にどういった変化や工夫を重ねてきたのかという自身の経験が紹介され、支援担当者からはその都度工夫したことや心がけたこと、支援を行う上で重要だったポイント等が話されました。双方の立場からの実感のこもった話題提供により、多くの示唆を含んだ深みのあるディスカッションとなりました。
 後半は、パネルディスカッションの内容を受けてグループワークを行い、参加者同士で情報交換を行ったり、支援を行う上で必要なことを各自が整理する機会となりました。司会の太田晴康氏からはディスカッションを受けてのまとめとして、情報弱者を生まないようコミュニケーションを取っていくことが大切であること、学習権は人権であるという視点を持って大学での支援を行うべきである、との重要な示唆が述べられました。

「実践Ⅰコース 事例検討」
写真:松岡氏の講演の様子  まず、関西学院大学の松岡克尚先生から「聴覚障害学生の心理・文化特性−コミュニケーション支援者に求められる姿勢−」のテーマで、聴覚障害や障害モデルについての概論から聴覚障害学生の心理・文化をめぐる問題について講義をしていただきました。講義後半では、こうした聴覚障害をめぐる状況を理解した上で、支援者はノートテイクを介して、聞こえる文化と聞こえない文化との異文化交流というもう一つの使命を果たすことができるのではないかというお話があり、支援に携わる教職員にとって、日々の実践を振り返る貴重な機会となりました。
 分科会の後半では、2グループに分かれ事例検討を行いました。「対応に苦慮した事例」グループでは、支援学生に関わる課題について参加者同士の情報交換が行われたほか、保護者からの相次ぐ要望に対応しながら学生自身に必要な支援を講じているという事例について取り上げ、様々な意見が交わされました。
 「他部署との連携が必要となった事例」グループでは、支援担当部署が学内外の組織と連携しながら支援にあたった事例を4件取り上げ、新しい取り組みを共有したり課題について議論したりしました。いずれのグループも限られた時間の中でしたが、こうした事例検討の積み重ねが重要であることを改めて実感した有意義な研修となりました。

「実践Ⅱコース モデルプラン構築」
写真:実践Ⅱコースグループワークの様子  実践Ⅱコースは3つのテーマを設け、各テーマ2グループに分かれた少人数でのグループワークを行って、合理的配慮の考えに基づいた支援プラン作りを試みました。
 「コーディネーターに期待すること」グループでは、障害学生との入学前の面談場面という設定でロールプレイを行い、支援の内容を協議していく過程でのコーディネーターの役割や合理的配慮の考え方について議論を行いました。ロールプレイという具体的なワークを通して協議した結果、モデルプランも具体的な内容の詰まったものが提案できました。
 「評価・合理的配慮・授業改善」グループでは、障害学生の大学教育の中心課題ということもあり、2グループとも具体的なプラン提案までは至りませんでしたが、今後各大学で検討しなければならない課題やその際の観点が数多く挙げられたグループ協議となりました。
 「キャリア形成・就職活動支援」では、東京大学の近藤武夫先生に話題提供をいただいたり、企業で障害者雇用に携わっているオブザーバーから助言をいただいたりしながら進めました。キャリア形成支援は合理的配慮の枠組みを超えて検討していくべき領域であり、今回、支援担当教職員やキャリア支援の担当者、専門家、企業等さまざまな立場の参加者で意見交換できた成果を、今後各大学で具体的な取り組みにつなげていくことが期待されます。

【第3部 分科会報告】
 最後に全体会として、各分科会での議論の要点が報告されました。各報告を受けて田畑潤司氏、高橋知音先生から講評をいただき、今回の研修会の意義や成果を共有し、さらに各参加者が大学に持ち帰って取り組むべき課題を、それぞれに確認していただく時間となりました。


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